渉外戸籍 ー 養子縁組

「養子縁組」とは、血縁関係がない者や親子関係がない者の間に、法律上親子関係を創設することをいいます。

養子縁組の種類・・・「養子縁組」には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。 一般的に「養子」と呼ばれるものは、「普通養子縁組」を指し、「特別養子縁組」は、一定の要件のもとに家庭裁判所の監督下で審判に基づき成立させる特別な養子縁組制度です。

「普通養子縁組」は、一定の養子縁組の要件を満たす場合、市区町村長への届出により成立します。  養子縁組が成立すると、養子は養親の氏を称し養親の戸籍に入り、親となった養親の嫡出子としての身分を取得すると同時に、養親の親族とも親族関係を生じます。  養子となったからといって、実親との関係は消滅せずに維持され、養子縁組後も相互に相続、扶養の権利義務があります。 養子は養親と実親の両方から相続することができる反面、扶養義務も両方にあります。

「特別養子縁組」は、親の虐待や子を育てられないなどの事情がある場合、子の福祉の観点から養親となる者の請求に基づき、家庭裁判所の監督のもと、審判により成立する養子縁組です。「断絶型養子縁組」と言われ、実親との関係を断つ事に特徴があります。

日本の普通養子縁組の要件

実質的要件
○ 養子となる者の要件
① 縁組の意思(承諾)があること
② 養親となる者の尊属(父母・祖父母など)又は年長者でないこと
③ 養親となる者の嫡出子又は養子でないこと
④ 配偶者のある者は、配偶者(夫又は妻)の同意があること
⑤ 15歳未満であるときは、法定代理人(親権者)の承諾を得ること
⑥ 法定代理人が承諾する場合、養子となる者の父母で監護権者がいる場合は同意を得ること

○ 養親となる者の要件
① 縁組の意思があること
② 成年に達していること(成年擬制による成年含む)
③ 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、配偶者とともに共同縁組すること。 ただし、養子となる者が配偶者の嫡出子(連れ子)や配偶者が意思を表示できない場合は共同縁組しなくてもよい。
④ 配偶者のある者が養親となる場合には、配偶者の同意を得なければならない。
ただし、配偶者とともに共同縁組するときや配偶者が意思を表示できない場合は同意を得る必要はない。
⑤ 未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の許可を得なければならない。 ただし、自分や配偶者の直系卑属(子・孫など)を養子とする場合は許可は不要となる。

形式的要件
市区町村長へ届け出ることにより養子縁組は成立します。

親権者と監護権者・・・未成年の子は、親権に服することになりますが、この親権は、子を監護教育する「監護教育権」、子の財産を管理する「財産管理権」に大別されます。 婚姻している父母はこれらを共同して行いますが、離婚している場合には、これを切り離して、子と共に生活する母が監護教育権を、他は父が行うことがあり、親権者と監護権者に分かれている場合があります。

日本の特別養子縁組の要件

実質的要件
養子となる者の要件
①家庭裁判所に申し立てをする時、養子となる者の年齢は6歳未満であること。
ただし、養子となるものが6歳未満から養親となる者に育てられている場合には、8歳未満であれば家庭裁判所に請求することができます。
②父母の同意があること。 ただし、父母が意思表示することができない場合や父母の虐待があるなどの事情がある場合は、同意は不要です。
③子の利益の為に特に特別養子縁組が必要であると認められること。

養親となる者の要件
①配偶者のある者でなければならない。
②配偶者とともに縁組しなければならない。
③25歳以上でなければならない。 養親となる者の一方が25歳に達している場合は、他方は20歳に達していればよい。
④家庭裁判所は、特別養子縁組審判を成立させるには、6か月以上の期間の監護状況を考慮しなければならない。

報告的届出
家庭裁判所の審判により成立する為、審判確定日から10日以内に報告的届出を市区町村長へする。

国際私法の養子縁組の要件

実質的要件・・・養子縁組の実質的要件は、縁組当時の養親となる者の本国の法律を適用します。 ただし、養子となる者の本国の法律に、養子の保護に関する規定を設けている場合には、その規定も適用されます。
保護要件・・・養子となる者の本国の法律に、養子となる者や第3者(親族会・配偶者・戸主など)の承諾・同意又は公的機関(家庭裁判所など)の許可その他(行政委員会など)の処分があることなど保護要件が養子縁組の成立要件としている場合は、その要件も満たさなければなりません。 日本の法律では、養子となる者の要件の①④⑤⑥、養親となる者の要件の④⑤はこの保護要件に該当します。

各国の保護要件
裁判所の決定を要件とする国・・・フィリピン、アメリカ、フランス、ドイツ
親や後見人の同意が要件とする国・・・韓国、中国、イギリス
○ 夫婦共同縁組について・・・夫婦共同縁組は、養子の保護要件ではないとされています。 ですから、夫婦の一方又は養子となる者の国の法律で、夫婦共同縁組を強制している場合でも、他方の法律を適用して単独縁組をすることができます。

○ 裁判所の許可について・・・養子となる者の本国の裁判所の許可が保護要件にあるけれど、養子となる者が日本に在住している場合や養親となる者の本国の裁判所の許可が必要の場合には、養親又は養子の住所地を管轄する家庭裁判所による許可の審判を得ることによって、本国の裁判所の許可に代えることができるとされています。

形式的要件・・・養親となる者の本国の法律又は養子縁組をする場所の法律によりすることができます。

日本人夫婦が外国人の未成年の子を養子とする場合

 養親となる者は日本人なので、養子・養親の要件について日本の法律を適用します。 さらに、養子となる者の本国の法律が保護要件を必要としている場合には、その要件も満たす必要があります。 形式的要件については、養親となる者の国が日本なので日本の法律ですることができますので、市区町村長へ届け出により養子縁組を成立させることができます。 外国に住む日本人夫婦の場合には、養子縁組する場所の方式でもできますが、日本の市区町村長へ郵送により届出る必要があります。

日本人夫婦が養子制度のない国の外国人の未成年の子を養子とする場合

 養子となる子の国が養子制度のない国なので保護要件はありませんから、日本人夫婦が養親となるので、日本の法律の要件を満たしていれば養子縁組することができます。 ただ、養親の本国である日本において養子縁組は成立しますが、養子となる者の本国で養子縁組が認められるかはその国の法律によります。

外国人と日本人の夫婦が外国人の成年を養子縁組する場合

 日本の法律では、未成年の子を養子とする場合には、子の福祉上の観点から夫婦が共同で縁組する必要がありますが、成年を養子とする場合には、共同縁組の必要性がありませんから、他の配偶者の同意のみで単独縁組することができます。
共同縁組は養子となる者の保護要件ではないとされていますので、もし、外国人配偶者又は養子となる者の本国の法律で、「養親が夫婦のときは、共同して縁組しなければならない」という規定があったとしても、これを考慮する必要はなく、単独で縁組することができます。

日本人男と外国人女の夫婦が外国人女の未成年の非嫡出子を養子とする場合

 日本人には日本の法律が、外国人には本国の法律が適用される他、養子となる者の本国の保護要件が適用されます。
夫婦共同縁組・・・日本人配偶者については、未成年者の養子の場合は夫婦共同縁組を必要とします。 外国人配偶者について、本国の法律で、自分の子である非嫡出子と縁組できるときは、夫婦共同縁組をすることになります。 ところが、自分の子である非嫡出子と養子縁組できないとき又は養子制度がないときは、夫婦共同縁組できません。
単独縁組・・・共同縁組できない場合には、日本人配偶者の単独縁組をすることになります。 日本の法律では、配偶者の嫡出子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合には単独縁組を認めていますから、他方の配偶者が縁組できない場合には、単独縁組を認めてよいと考えられます。 ただし、外国人配偶者の同意が必要です。 配偶者の直系卑属(子)なので家庭裁判所の許可は不要です。

日本人夫婦が、外国の裁判で外国人の子を養子とする決定を得た場合

 外国の裁判で養子となる決定を得た場合、日本でそれが認められるかは、日本の法律に照らして有効性を審査しなければなりません。 また、外国人養子の本国の法律に規定する保護要件も審査されます。 外国人養子の本国の保護要件を満たし、日本の法律を適用して養子縁組の要件を満たし、その養子縁組が無効でない限り、市区町村長への報告的届出により成立します。 届出は、3ヶ月以内に、養子縁組成立を証する裁判所謄本と確定証明書を在外日本大使館、総領事館に提出するか、日本の本籍地の市区町村長へ郵送するなどの方法で届出します。 なお、日本の法律を適用して養子縁組が無効となるのは、養子縁組する意思が両者又はどちらか一方の当事者にない場合です。

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