渉外戸籍 ー 養子離縁

「養子離縁」とは、養子縁組を解消することで、日本の法律では、養子縁組当事者の話し合いによる「協議離縁」、養親又は養子の死亡後に解消する「単独離縁」、裁判による審判・和解又は調停成立などによる「裁判離縁」があり、「協議離縁」「単独離縁」は届出により成立し、「裁判離縁」は審判や調停により成立するので、届出は報告的な届出となります。 なお、「特別養子縁組」の離縁については、裁判による離縁のみに限られます。

協議離縁
・養子が15歳以上のときは、養親との話し合いにより離縁することができます。
・養子が15歳未満の場合は、養親と養子の離縁後、実親など法定代理人が養親と話し合いにより養子縁組を解消することになります。
・養子が15歳未満のときは、離縁後の親権者を定めなければなりません。
実父母がいる場合は実父母が、実父母が離婚している場合はいずれか一方が、実父母が共に死亡していたり、親権者を誰にするか話し合いがつかない場合は、裁判所に申立て、審判により決めることになります。
・養子が未成年で、夫婦で養親となった場合には、共同して離縁しなければなりませんが、養父母が離婚している場合、養父母のどちらか一方が意思を表示することができない又は死亡している場合は、一方のみと離縁することができます。

単独離縁
養親又は養子の一方が死亡した場合、生存している当事者が養子縁組を解消したい場合は、家庭裁判所の許可を受けて解消することができます。  なぜ家庭裁判所の許可が必要かと言いますと、養子制度を悪用し、養親を利用するだけ利用して、高齢となった養親の一方が死亡後、遺された養親の面倒を見ないで一方的に離縁するようなことを防止するためです。

裁判離縁
離縁の協議が整わないときや養親が意思表示不能の場合は、家庭裁判所に離縁の調停を申立てます。 調停により離縁の合意が成立しなければ、審判離縁へ移行し、職権で離縁に必要な審判をしますが、異議の申立てがあれば、離縁の裁判の訴えを提起することになります。
裁判離縁は以下の要件のいずれかに当てはまる場合に認められます。
① 悪意の遺棄(家に帰らず面倒を見ることもしないで放っておかれることなど)
② 一方の生死が3年以上不明
③ 虐待や侮辱、浪費、犯罪行為、性格の不一致など縁組を継続しがたい事由がある

国際私法における養子離縁

 国際私法における養子離縁については、実質的要件は、縁組当時の養親の本国の法律により、形式的要件は、縁組当時の養親の本国の法律又は縁組した場所の法律によることとなります。 養子縁組の場合には、子の本国の保護要件が適用されましたが、離縁についてはその適用はありません。

しかし、カナダ、イタリアなどは離縁を認めておらず、アメリカ、ドイツ、フランスなどは裁判離縁しか認めておらず協議離縁は認めていません。 協議離縁を認めている国は、日本、韓国、台湾などの一部の国に限られる為、日本人と外国人夫婦が養親の場合は、各養親の本国の法律が異なる場合があります。

日本人夫婦における外国人の養子との離縁

 離縁の要件は、実質的要件、形式的要件共に縁組当時の養親の本国の法律によりますし、養子の本国の法律について判断する必要はないので、すべて日本の法律を適用して離縁することができます。 ただし、外国人の養子が未成年である場合は、原則として夫婦共同で離縁する必要がありますが、例外として、養父母が離婚している場合、養父母のどちらか一方が意思を表示することができない又は死亡している場合は、一方のみと離縁することができます。

協議離縁を認めている国の外国人と日本人の夫婦における養子との離縁

 どちらの養親の本国の法律も協議離縁を認めているので、市区町村長へ協議離縁の届けがあった場合、離縁の要件を備えているか審査されます。
① 縁組当時の養親の国籍確認
② 縁組が継続しているかどうかの確認
③ 外国人の養親の本国で協議離縁が認められているかどうかの確認
④ 外国人の養親の本国で協議離縁制度がある場合は、要件を備えるかどうかの確認
⑤ 届出内容の確認

離縁を認めていない国の外国人と日本人の夫婦における養子との離縁

 日本人と外国人夫婦が養子を離縁する場合、外国人の養親については本国の法律が、日本人の養親については日本の法律が適用されます。

養子が未成年の場合は、日本の法律では、未成年を養子とする場合も、離縁する場合も夫婦が共同ですることが求めれていますが、外国人の本国の法律で離縁を禁止しているときは、「養父母のどちらか一方が意思を表示することができない場合」に該当する為、日本人のみが単独で離縁することになります。 養子が成年の場合についてもやはり単独で離縁することになります。

裁判離縁しか認めていない国の外国人と日本人の夫婦における養子との離縁

日本における裁判離縁
養子離縁については、縁組当時の養親の本国の法律によることとなっていますので、日本の家庭裁判所の調停や裁判の審判が行われても特に問題となることはなく、戸籍実務においては、家庭裁判所の判断を尊重して、養子離縁の届けを受理しています。
外国人の本国の法律が、裁判離縁しか認めていない場合でも、調停は確定判決と同一効力を有することから離縁が認められるとの扱いがされています。

外国における裁判離縁
日本においてその裁判の判決の効力を認めるかどうかが問題となり、外国で行われた裁判については、以下の4つの条件を満たしていれば、日本においてもその判決の効力を認めることにしています。 そしてこの条件を満たした外国の判決に基づく離縁届があったときは、市区町村長は受理し戸籍に記載されます。
① 裁判所がその国において裁判することを認められていること
② 訴えられた側に充分な防御の機会が保証されていたこと
③ 判決が日本の社会通念から見て手続、内容とも公正で適正であること
④ 日本の裁判所がした判決とその国の裁判所がした判決を相互に承認することが保証されていること

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